2017-05

鳥平にて千福を飲む

  6月8日土曜日の話

 
 その土地に住んでいる人間じゃないと解らない微妙な言葉のニュアンスというものがあります。
呉の場合、「鳥屋」と言えば焼き鳥も食べれる居酒屋のことを指します。

 それに対し「焼き鳥屋」と丁寧に言えば、いわゆる炭火で炙った焼き鳥専門の店を指すことが多い。

 呉の居酒屋型の「鳥屋」さんは鮮魚から天ぷらまで、庶民が好きそうなものなら何でも扱う大衆酒場的な色彩が強く、呉市民から絶大な支持を受けており私自身も大好きなのですが、たまには趣向を変えて職人気質の親父さんが団扇で炭を扇ぎながら、1本1本丁寧に焼き上げた炭火焼の焼き鳥が食べたくなります。

 こういった本格的な焼き鳥専門店(この表現も妙ですが)は呉では少数派にもかかわらず、いずれも高いレベルの焼き鳥を供してくれます。

 鳥平はその中でも、特に焼きが丁寧で、いつ食べても焼き加減の妙に唸らざるを得ません。
創業40年以上の老舗、現在の店舗に移って来て、既に20年近く経ちます。

 tori.jpg

 焼き鳥屋らしからぬ(笑)清潔感溢れる店内は店主の仕事に対する姿勢の表れとも言えます。

 12.3人座れるカウンターと小上りに2卓、衾で仕切れる座敷が一室。
カウンターの奥、つまり店の中心部分にレンガ積みの特製の焼き台がデンッと設えられており、店主が炭と串を睨みながら団扇片手に焼きに徹しています。

 その前、つまりカウンターと焼き台の間に二代目の息子さんが立ち、客の注文を捌いています。 この連携の妙は親子ならではのもので、客の食べる速さなどを見ながら、二代目が父親に対して、「もっとゆっくりでいいよ。」などと焼き上げるタイミングを的確にアドバイスしています。

 この店は鳥平コースという12本で2300円の人気コースがありますが、いつもお任せでは面白くないので、この日は2本縛りの好みでお願いしました。

 飲み物はモルツの生を。 やや小さ目の中ジョッキで630円ですが、ここの生ビールはウマい。 

 モルツ生

 生ビールというものは工場を出る時は同じでも、客の口に入る時には意外と味に差の出る代物で、店主が几帳面な人かどうかは大体生ビールの一杯目で判ります。

 自家製の漬物と口直しの大根おろしがお通しとして出されます。

 この日注文したのは、かしわ、すなぎも、ちぎも、ししとう(いづれも1本125円)
さび焼き(1本160円)、手羽(1本270円)の6種類12本。

 さび焼き

 串はやや小ぶりではありますが、九州産の新鮮な鳥肉、店主の繊細な焼き加減と絶妙な塩加減の妙は呉随一の焼き鳥と言っても過言ではありません。

 かしわ

 最近は新鮮な鳥肉を仕入れている名店ほど、焼き加減のレア度を競う傾向にあります。

 僭越ながら、この風潮には首を傾げざるをえません。 肉の鮮度をアピールすることは、それ自体が他店に対するアドバンテージであり、店の強烈な個性とも言えます。
 
 またレアな状態を求める客が増えて来ている現状も一部理解できます。 ただ味という点だけに焦点を当てれば、鳥肉というものは一定程度火を通したほうが美味しいと思います。 
 
 ちぎも

 もちろん火を通し過ぎてパサパサになった肉などは論外ですが、火が通りきる寸前で炭から降ろす見極めの妙、寸止めの技こそ名人の術というものでしょう。

鳥平の串を味わうと、その火の通し具合は、
手羽   95%
すなずり 85%
さび焼き 85%
かしわ  85%
ちぎも  60%
と、私の嗜好にも沿った焼き加減の串が堪能できる。
これぐらいの焼き加減が理想なのではないだろうか。

 手羽

 とある東京の名店でさび焼きを食べた時など、80%生だったことがある。 この状態で堂々と客に出せるという自負と品質管理の労には一定の敬意は表しますが、「もう少し火を通したほうが美味しいのでは。」という気持ちがどこかにある。

 鳥平は店主が1本1本それこそ他の仕事は一切せずに丹念に焼き上げる。 だからこそ、この妙技がなせるのだと思う。
 焼き鳥はシンプルこの上ない料理であるが、それゆえに、肉、塩加減、焼き加減、三位一体となった時の満足度は他の料理では味わえぬ独自の陶酔感を与えてくれる。

 生2杯の後、千福の熱燗1本。

 千福と熱燗

 焼鳥屋で飲む日本酒というのは又、乙なもんでしてね。

 焼鳥も素晴らしい日本の食文化ですからね。



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